ぶらり訪問記 No.016
訪問先:豊前 天狗太鼓
1991年に結成され今年で33年目を迎え、創作和太鼓チームとしては歴史あるチームである。
豊前市の地域おこしを発端に地域の活性化と会員の親睦を深めることを目標に結成され団員は現在31名という大所帯で、練習は火・水・金の週3回、19時から22時まで、豊前市立多目的文化交流センターにて行われている。
豊前市は福岡県の東部に位置し、大分県までは車で10分程度、もうすぐそばが大分県であり山と海に囲まれた自然豊かな街で春には、お田植祭をはじめ五穀豊穣・天下奉平を祈願する神事が各地で行われている。また山々が色付き始める頃には国の重要無形民俗文化財に指定された豊前神楽が地域の各神社で奉納され、市内のいたるところから聞こえるお囃子が秋の訪れを知らせてくれ神の街と言っても過言ではないぐらい自然と歴史豊かな街である。
豊前市を中心に地域のイベントや各地のお祭りなどで演奏を行い地域の活性化と青少年の育成活動を積極的に進め、また国外においても中国やハワイ、韓国などでも海外公演の実績・経験を積み、最近では豊前市の神楽やジャズオーケストラなどの異文化とのコラボを行うなど積極的な創作舞台の活動も行っている。
このチームの特に大事にしていることは「去る者は追わず 来る者は拒まず」をモットーに、人々に和太鼓の素晴らしさや楽しさを伝えるのであればまずは己がその楽しさやすばらしさを感じ取ること!・・・ごもっともである・・・。
現在ジュニアを中心とした小天狗チームとシニアを中心とした大(?)天狗(笑)の合わせて31名のメンバーが在籍、メンバーひとりひとりがテクニックの磨きはもちろんのこと、「楽しい~」と思ってくれることを大切にしながら日々練習に励んでいるとのこと。
日頃の練習内容においては先ずは基礎打ちを中心とした基本練習を行い、和太鼓の伝統的伝承方法である口唱歌による指導を徹底して行い、楽譜が読めない人でもとても入りやすい指導内容で行っている。
このチームのもう一つ大きな特徴は創作神楽集団「若楽」の存在であろう。
豊前市には6団体の神楽集団がありその中の5団体の若手が2003年に結成した「若楽(じゃらく)」という神楽集団がある。
内丸典久氏を代表とした「若楽」という神楽集団は創作神楽の新たなる可能性を追求している集団であり、ジャズや和太鼓などの異文化とのコラボなどを積極的に行い、古き良き文化を継承しつつ、さらに新しい文化を取り入れ、二つの融合を探求している新鋭なる若き神楽集団である。
天狗太鼓との合同練習を見学させて頂いたが鬼と太鼓方の駆け引きや、やり取りなど、なかなかのものであり見ごたえのある演出であった。お面をかぶり衣装を纏った本番はきっと見ごたえのあるすばらしいものであろう。
是非一度拝見したいものである。
~木谷の独り言~
奏者が楽しければ聞き手もきっと楽しいはず。~これぞ音楽の神髄なり~。
豊前と言えば思い起こすことが私には二つある。一つは海のかきである。
「豊前海一粒かき」はとにかくうまい。近年、口に入らなかったので今年の冬はぜひ食してみたい。もう一つは求菩提山を思い出す。若いころから九州の山をよく登っていたので懐かしい。英彦山と同じく修験道の山。
もう一度是非登ってみたい。(もう高齢なので無理かもしれない)(笑)
今後ますますの発展と活躍を期待しつつ、小天狗の成長を心より願いたい。
*補足 豊前神楽の歴史 一般的に神楽の成立には山伏(修験者)が関わったとされ、当初は山伏が修験道により行う宗教儀礼であったと考えられる。豊前神楽の成立は中世(室町時代;15世紀頃)と考えられ、求菩提山の山伏が関わったと考えられている。その存在が記録に現れるのは江戸時代に入ってから(17世紀初頭)で、山伏が関わっていたことが記されている。江戸時代は社家(神職)によって神楽が演じられたことが古文書で確認でき、出雲神話に基づく演目が登場し、今に伝わる演目も見ることができる。明治時代以降、神楽の担い手は氏子へと受け継がれ、現在の神楽講(6団体)による奉納が確立する。 (豊前市HP引用)