響き合う心と生きたリズム!唐津の海風が育む若き龍たちの躍動
~和太鼓竜童(東支部)~

◆碧き唐津の海と歴史が育む、未来への響き
玄界灘の美しい波濤とのどかな松原が広がり古くから大陸との交易の門戸として栄えてきた歴史ある城下町、佐賀県唐津市。
この豊かな風土と伝統が息づく街に、ひときわ熱く瑞々しい鼓動を響かせている青少年和太鼓チームがあります。
それが今回ご紹介する「和太鼓竜童(りんどう)」です。
組織としての基盤が非常にしっかりされており、大人のメンバーを中心とした18歳以上のチーム「唐津港太鼓」の熱い魂を受け継ぎながら、ジュニアを中心とした青少年の育成・活動に情熱を注がれているこのチーム。
西唐津本部と東支部に分かれて地域に根差した活動を展開されていますが、今回はそのなかの「東支部」の練習現場へ、私、西日本楽器の木谷慶一がぶらりとお邪魔させていただきました。
◆最高の環境と、ご父兄の温かい支え
毎週金曜日の19:00から行われる練習の舞台は、「ボートレース唐津」のイベントホール。


18:30頃に会場へ到着すると、すでに代表の山田康太郎氏が会場入りされており、温かく迎えてくださいました。
受付で撮影許可をいただき18:45にホールへ入ると、ご父兄の皆様の素晴らしいチームワークによる楽器の搬入とセッティングが始まっていました。
こちらの会場は専用の保管庫が完備されており機材の出し入れが非常にスムーズで恵まれた環境です。さらにエアコン完備の立派な屋内設備があるため、音のトラブルや季節の厳しい暑さ寒さを心配することなく、子供たちがのびのびと演奏に集中できる素晴らしい練習環境が整っていました。
19:05、代表の山田氏よりご紹介をいただき、集まったメンバーの皆さんへ私からもご挨拶をさせていただきました。

◆年齢の壁を越える情熱と、指導陣の確固たる信念
現在、和太鼓竜童の本部と支部合わせメンバーは総勢40名。
驚くべきことに、下はなんと4歳のお子さんから上は中学2年生のお姉ちゃんまでという非常に幅広い年齢層で構成されています。これほど大きな年齢差がある大所帯のチームを長きにわたり牽引し、まとめ上げていくことは、想像を絶するほどの労力と苦労が必要です。
青少年の健全育成への深い情熱、そして純粋なボランティア精神がなければ決して続くものではありません。
現在は、山田康太郎氏と高崎大和氏(本日は惜しくも立ち会えず)のお二人による盤石の指導体制が敷かれており、山田氏が入部3~4ヶ月の新入生を優しく熱心に育て、高崎氏がチームの核となる経験者たちの指導に当たるという見事な役割分担で、子供たちの成長を支えられています。
◆「生きたリズム」と「芯のあるpp」
さあ、いよいよ練習開始です!まずは体をほぐす準備体操を兼ねて、バチを持ってのエア素振りとグリップの確認が行われます。
そこから実際に太鼓を叩いての基本打ちへと移るのですが、このチームは柔軟体操から基礎打ちの練習に対して、非常にたっぷりと時間をかけていました。

その基礎打ちの内容もよく工夫がされています。ただメトロノームのように淡々と打つのではなく、音楽でいうピアニッシモからフォルテッシモまでのダイナミクス、そして全音符から16分音符までを巧みに組み合わせたテンポの変化、クレッシェンドやデクレッシェンドが指導メソッドとして組み込まれていました。
普段、多くのチームの演奏を聴かせていただく際、私は基本打ちのリズムに耳を澄ませます。そこを聴けば、そのチームの力量と将来性が分かるからです。
まだ始めて3~4か月程度の間もない子が13名、しかしこの13名が叩く基本リズムは、理屈抜きにして「本来リズムが持つ根源」をしっかりと捉えていました。
拍の頭をしっかりとらえアクセントの位置など、リズムの自然体を理解した「生きたリズム」がそこには鳴り響いていたのです。
特に驚かされたのは、4歳の小さな女の子が、お兄ちゃんやお姉ちゃんたちと全く対等に、しっかりと力強くバチを握って正しいリズムを叩き出していた姿です。
難しいテクニックへ安易に背伸びをするのではなく、年齢や力量に合わせ、簡単なリズムの中に含まれる基本を何度も何度も繰り返し体に叩き込んでいる。だからこそ、大人顔負けの生きた音が生まれる事を指導者の先生方がこの本質を子供たちに理解させようとしている姿勢が、音を通じて随所にダイレクトで伝わってきました。
そして何より私が驚き、感動したのは、強弱表現におけるPP のクオリティです。どんな楽器でも、大きな音を出すより小さな音を出す方がはるかに難しいものです。
しかし、このチームは4歳の子も含めて、小さな音の時でも決して「張りのないヘナヘナした音」ではありませんでした。
私たちパーカッション奏者はよくバチを置きに行くな!と言います。バチをただ太鼓の皮の上に置きにいくような弱い音ではなく、弱くてもしっかりと芯のある音を叩けと。このチームの音は繊細さの中にも力強い存在感が宿る、凛とした「芯のある美しい弱音」を、ほとんどのメンバーが体現していたのです。これには本当に驚きました。
一方、新入生を除いた高崎大和氏が指導するもう一つのジュニアチームが隣の部屋で別れて練習を開始していたので覗いてみました。

小学1年生から中学2年生までの混在チームで経験年数のあるこの竜童の中核を担うメンバー達です。
演奏を聞いていて感じたポイントが2つありました。
一つは楽曲の構成や各パートの役割を、子供たち自身がしっかりと頭と体で理解して演奏している点です。
「今、このフレーズの主役は誰か」「誰が脇役で、誰が地打ちの指揮者なのか」が全員理解しています。「今はこの長胴太鼓が主旋律だから、副旋律の長胴太鼓は少し音量をコントロールして支えよう」「さあ、ここからは自分たちの出番だからしっかり鳴らそう!」という、子供たち同士の阿吽の呼吸と会話が、音のアンサンブルからリアルに聴こえてくるようでした。
リズムをそして音楽を「体」で理解している力強いアンサンブルでした。
もう一つは、出る音、出したい音に対する深い追求です。メロディーを持たない打楽器だけのアンサンブルですが、彼らの叩く一打一打に力強い感性がしっかりと込められており、まるで音が聴き手に語り掛けてくるような豊かな表情を持っています。
私がピアノや吹奏楽等の指導でも常に伝えている「最後の音が消えるその瞬間の余韻までが演奏である」という真理を、このチームの子供たちは見事に理解し、実践していました。
さらに高みへ!ステップアップのためのちょっとしたアドバイス
素晴らしい生きた演奏に出会えたからこそ、さらに彼らが世界を広げ、夢に向かって上達するためのヒントとして一言。
まずは「バチ選び」の重要性です。太鼓はバチの種類によって劇的に音色が変わります。太鼓の特性はもちろん、叩く人の性別や体格、現在の力量といった各自の条件に合わせて、自分に最も適した「太さ・長さ・材質」のバチを選べるようになることも、大切な上達へのステップです。
特にバチの「長さ」のバランスには、もう少し注意を向けてみるとさらに音が変わるでしょう。
もう一点は、「バチの持ち方や支点の場所」の再確認です。メンバーのなかには、せっかく太鼓から返ってくる心地よい「反動力」を、手元でキュッと殺してしまっているもったいないフォームの方も見受けられました。
バチの支点を正しく見直し、楽器の反発を味方につける脱力を覚えることで、今よりもっと楽に、さらに深く抜ける響きを手に入れることができるはずです。


訪問を終えて
テクニックの先にある「音の真理」を見つめ、心を通わせ合いながら一打を紡ぎ出す和太鼓竜童の皆さん。
山田代表及び高崎大和氏をはじめとする指導陣の深い愛情と、ご父兄の皆様の温かいサポートに守られた若き龍たちは、これからも唐津の地から素晴らしい感動の響きを全国へ発信していってくれることでしょう。
ジュニアチームの素晴らしい思いを頭に浮かべながら、では親チームの唐津港太鼓はどんな素晴らしい演奏を聴かせてくれるのだろう。是非お邪魔してみたいとの思いを抱きつつ唐津の地を後に帰路に就きました。
和太鼓竜童の皆様、エネルギーに満ちあふれた感動的な時間を本当にありがとうございました!これからの皆さんの大いなる飛躍と夢の実現を、西日本楽器和太鼓事業部はこれからも全力で応援し続けます!
ぶらり訪問記筆者:木谷慶一
和太鼓「竜童」 2026年7月3日訪問
創立:2002年
拠点:佐賀県唐津市
分類:創作系和太鼓チーム
団員数:現在40名
代表:山田康太郎
指導担当:山田康太郎・高崎大和
チームの練習会場:ボートレース唐津イベントホール
チームの練習日時:金曜日:19:00〜22:30
