ぶらり訪問記 No.024
訪問先:
航空自衛隊築城基地 太鼓部「昇龍太鼓」
今回は航空自衛隊築城基地の太鼓部「昇龍太鼓」を訪問した。
私は自衛隊の太鼓部の訪問は初めてなので今回の訪問はとても楽しみにしておりワクワクしながら築城基地に向かった。正門近くまで来ると爆音と共にジェット機が飛び立ち翼を振って私たちを歓迎してくれるかのように大空を飛んでいた。おそらく明後日24日に開催される年に一度の大イベント「航空祭」の訓練であろうか、いつの間にか童心に戻ってしまい大空を飛び回るジェット機をしばらくの間眺めていた。
まずは正門にある検問所を訪れ入門の手続きが終わり基地内に入ることができた。しかし門を入ると別世界のような気がしてかなり緊張するものである。緊張をしながら太鼓部の練習場に行くと、もうすでに数名の団員の方が迷彩服を着て練習が始まっていたが私を見ると大きな声での挨拶と笑顔で私を迎え入れてくれた。おかげで少し緊張がほぐれた気がした。徐々に徐々に団員が集まってきた。全員集まったところで紹介を頂き明後日行われる航空祭での演奏曲の通し練習が始まった。
各地区所属の航空自衛隊音楽隊は一般市民にとってイベントなどでよく目にすることもあり結構なじみ深いが、太鼓部の存在はまだあまり知られていない。しかしこの太鼓部の創立は、2001年に創部され今年で23年目になるとのこと。結構長い歴史を持っている。
この太鼓部は基地内での行事等で演奏を行ったり、また近隣自治体開催のお祭りや、行事などにも積極的に参加し演奏を行い地域とのコミュニケーションを行っている。
団員の皆さんは航空自衛隊員として通常の勤務や訓練をこなし、太鼓部の練習においては学校で例えると、昼休みや放課後、各部署から集まって自主的に練習を行っている。団員は現在16名。女性が数名、年齢は20代からウン十代までと年齢差もかなりあるが経験豊かな先輩隊員がまだ経験少ない若い隊員達にしっかりと指導して技量差の穴埋めをおこなっている。 日頃は日本領空を守り、そして日本国民を守り、また災害時などの緊急時にはすぐに駆け付けてくれる、更にこのように地元と密着した行事、イベントなどの開催、本当に有り難く頭の下がる思いである。
~木谷の独り言~
練習会場は結構古い建物ではあるが練習室兼太鼓備品庫があり、大桶胴太鼓、桶胴太鼓、長胴太鼓、締太鼓、などの和太鼓が揃っていた。
別の用事で会計隊の方にお伺いした時、ちょうどお昼の時間であったが室内の電気をすべて消して薄暗い部屋の中で食事をしておられた。無駄なものは使わない、徹底された規律、私共も本当に見習わなければならないとつくづく感じ心から反省させられた。 今日の練習内容は明後日演奏する曲の通し練習である。24日の航空祭で6曲演奏されるとのこと、さっそく通しの練習が始まった。
日頃自衛隊の隊員として体を鍛え、心を磨く訓練が毎日行われているからであろうか、とても力強く打ち方も姿勢にも洗練された演奏であった。
しばらく練習を聴いていると少し気になるところが見えてきた。
和太鼓の置き方である。今の置き方であれば片面が床に直に設置されているため片面の皮の振動・共鳴を殺していることになり和太鼓自体が持つ独特の響き、基音、倍音そして増幅音すべてを減少させてしまっている。
この置き方には別に何か特別な意図があるのかお尋ねしたが特に“なるほど”と言うような理由が見当たらなかった。
私個人の推測であるが以前自衛隊員の猛者たちが和太鼓を担いで出てきて、その場において演奏した映像を見たことがある。いちいち台を置いてセッティングする部分を省いての演出であったと記憶している。これはこれでとても力強さを感じる演出である。しかし屋内ではまだしも屋外では皮に傷をつけてしまうのでやるべきではないと思うが、どの方法が正しいと言うのではなく、チームのメンバーの方たちで今後何を目的として何をすべきか検討する項目ではあるような気がした。
航空自衛隊築城基地の「昇龍太鼓」の演奏は何と言っても筋肉流々とした猛者たちのパワフルで力強い情熱あふれるエネルギッシュな演奏がこのチームの魅力であり、それと合わせて規律のある行動から生まれる「統一美」である。
その上に少しだけ音楽的知識と和太鼓からの音にこだわりを持つようになるともっともっと素晴らしい演奏になるのではと感じた。
もうひとつ期待したいことがある。期待するということはそのチームにそれだけこなす力と技量があるから言えることである。 それは他基地の太鼓部によく似た演奏ではなく築城基地太鼓部「昇龍太鼓」にしかない独自の独特なカラーを打ち出した演奏をしていただきたいと心から願うものである。
これだけの強靭な肉体と信念を持っておられる団員ばかりのチームなので必ずできる、もっともっと素晴らしい演奏ができる、そう感じながら航空自衛隊築城基地をあとにした。
~頑張れ!「昇龍太鼓」心から応援したい~
<チームデータ> 創立:2001年 拠点:航空自衛隊築城基地 分類:創作和太鼓チーム 団員数:現在16名 太鼓部部長・奴賀 真、指導者:稲付 峻
<追伸>
航空祭当日は以前からセミナーの予定が入っていたので残念ながら見学できませんでしたが終わってから写真を送っていただきました。
見てください。皆さんのこの笑顔、最高の笑顔をしておられます。きっといい演奏ができた証だと思います。 今後、昇龍太鼓のますますの発展を心よりお祈り申し上げます。