ぶらり訪問記 No.035
訪問先:和太鼓 奏真(そうま)

西日本楽器 和太鼓事業部の木谷慶一です。

好評をいただいている「ぶらり訪問記」、今回は福岡県の南部に位置する、水と緑、そして果物の里として知られる「うきは市」へと足を運びました。

うきは市といえば、江戸時代から続く「白壁の町並み」が今も美しく残り、まるでタイムスリップしたかのような情緒あふれる風景が広がっています。また、耳納連山の麓に広がる豊かな土地は「フルーツ王国」としても名高く、今の季節は柿や苺の香りが風に乗って運ばれてくる、そんな心安らぐ場所です。そのほか赤い鳥居で有名なうきは稲荷もとても素敵なところですね。私も数年前行きました。

今回お邪魔したのは、そんな素晴らしい環境の中で昨年2024年に産声をあげたばかりの、非常に注目度の高い新進気鋭のチーム「和太鼓 奏真(そうま)」です。

練習会場である「うきは市文化会館」に到着すると、代表の井浦章雄氏(いうら あきお)とメンバーのお二人が温かい笑顔で迎えてくれました。

「和太鼓奏真」は、結成からわずか1年足らず。メンバーは現在3名という少数精鋭ですが、その活動内容は非常に濃密です。代表の井浦さんは元保育士という経歴を持ち、現在は医療・福祉系の現場で勤務されています。もうひとりのメンバーの方も保育士資格をもっており、現在はうきは市に関わる仕事を通じて、地域と人をつなぐ役割を担っています。

うきは市の公式マスコットキャラクター「うきぴー」の関連グッズを頂戴いたしました。「うきぴー」のスポンジ、マグネット、ボールペン「うきぴー」かわいいですね!

そしてもうおひとりの方は、現役の消防士。現在消防署で勤務されておられるというその青年は、背筋がスッと伸びた実に見事な姿勢で、立ち姿だけで「太鼓打ち」としての風格を感じさせます。

「自分らしい形で、心から楽しめる演奏がしたい」という純粋な想いから始まったこのチーム。保育、医療、地域、そして救急・防災。それぞれの分野で人を支えてきた3人の経験が、打音の一打一打に「優しさ」と「力強さ」として宿っているのを感じます。

■ 最新鋭の練習スタイルと徹底した「基礎」

18時、楽器の搬入から練習がスタートしました。驚いたのは、その合理的かつ音楽的な練習風景です。

練習の土台となる「地打ち」のリズムには、最新鋭の電子和太鼓を導入。安定した電子和太鼓の地打ちのリズムに合わせて、基礎打ちにたっぷりと時間をかけます。

特筆すべきは、その内容の細やかさ。ただ叩くのではなく、音楽でいう「pp(ピアニッシモ)」から「ff(フォルテッシモ)」までのダイナミクス、そして「休符(間)」を意識したメニューを、実に丁寧に取り組まれていました。こうした地道な積み重ねが、結成間もないチームの音に厚みを持たせているのでしょう。

木谷の独り言

~さらなる高みへ~

20時からは曲の練習に入りました。ここからは私の職業病でもありますが、より良い演奏にしていただくためのアドバイスも少しだけ。

まず、リズムの表現力が非常に安定しており、リズムが「生きている」と感じました。メンバーの皆さんがリズムの「頭」をしっかり捉えて叩いている点は、非常に高いレベルにあります。
ただ、より音楽的な広がりを持たせるために、フレーズ全体を通した「小節の頭」をより意識できるようになると、さらに楽曲の立体感が増すはずです。

また、技術的な面では担ぎ桶胴のバチが少し長い印象を受けました。

特に両面打ちの時に裏面の中央部分にバチが当たっていないためバチ同志が交差したり縁に当たったりしてトラブルのリスクが高くなっている感じを受けました。バチの長さやストラップの長さ、結ぶ箇所などにもう少し気を付けて調整してみると格段に安定性が増すかと思います。

やはりどんな楽器でも~まずは姿勢から~

そのほかの太鼓においても弱音(pp)の出し方がまだ少し不安定な場面が見受けられたので、ここを制御できるようになると、より繊細な表現が可能になると思います。

もう一点、気になったのは全体のバランスです。大・中・小それぞれの太鼓の音量バランスにバラつきがありましたが、これは太鼓の皮がかなりヘタっていることも影響しているかもしれません。道具のメンテナンスも含めて調整していくことで、今の素晴らしいリズムがより一層、聴き手の心に突き刺さる音に進化するでしょう。

■ うきはの「文化的財産」として

和太鼓 奏真は、すでにJR九州の観光列車「かんぱち・いちろく」のおもてなし演奏を行うなど、うきは市の「顔」としての役割も担い始めています。

それぞれの職業で培った「人の心に寄り添う姿勢」が、太鼓を通じて地域に還元されていく。
この3名なら、きっとこれからのうきは市にとって欠かせない「文化的財産」になっていくに違いない!!

練習を終え、夜の“うきは”の静かな町並みを走りながら、そんな確信に近い思いを抱きつつ帰路につきました。

和太鼓奏真の皆さん、素晴らしい時間をありがとうございました!
これからのますますのご活躍を、西日本楽器一同、全力で応援しております!

ぶらり訪問記筆者:木谷慶一

<チームデータ>
和太鼓 奏真
創立:2024年
拠点:福岡県うきは市
分類:創作和太鼓チーム
団員数:現在3名 
代表:井浦章雄